先日、友人の結婚式に出席しました。いやー、めでたい!という気持ちはさておき、その中で違和感を感じた、とある風習について。

美味しい手料理を作ってあげるよ

ファーストバイトってあるじゃないですか。ケーキすくって、あーんってするやつ。
この儀式にはこんな由来があるそうで

新郎から新婦への一口は「一生食べるものに困らせないから」、新婦から新郎への一口は「一生おいしいものを作ってあげる」という意味が込められています。
ファーストバイトとは - コトバンク

その披露宴でも同じ説明をされていたのだけど、自分の結婚式では絶対言わせたくないな、と思った。だって、嫁が稼いだっていいし、旦那が料理作ってもいいじゃないか。

プリンセス願望とヒモ夫

女の子が抱く「いつか王子様が迎えにきてくれる」というプリンセス願望は、「早く結婚して仕事を辞めたい」という寿退社願望に近似する。王子様が養ってくれるからだ。*1
女性の活躍に関する意識調査2017 ソニー生命保険
この調査によると、有職女性の約4割が「本当は専業主婦になりたい」と回答したそうだ。一方、専業主婦が「外に働きに行きたい」と回答したのも約4割。結局は無い物ねだりというところか。

逆に、専業主夫はどうだろう。
“家事”に関する意識調査 - ワタベウェディング
先ほどよりも調査対象が既婚の20〜40代と狭いが、25%が専業主夫を希望しているそう。想像していたよりも多いぞ…!しかし、そう思ってはいても口に出すと冗談にしかならない。なんせ夫は「一生食べるものに困らせない」社会的責務を負っているからだ。

実際に稼いでいるのは

労働力調査*2から、夫および妻が就業者であるかどうかで専業主婦/夫の世帯数を見積もってみよう。

調査年度 共働き 専業主婦 専業主夫
2013年 1,345 843 117
2014年 1,374 813 119
2015年 1,384 785 120
2016年 1,423 765 119

(万世帯)
比率にするとこんな感じ
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年度によらず約5%、1/20世帯が専業主夫ということになる。実際には配偶者のうち非就労者が家事を担当しているとは限らず、例えば病気や障害などで働けない場合も含まれるので、これより少ないと考えて良いだろう。メディアなどで取り上げられることも多くなったとはいえ、専業主夫はまだまだ少数派のようだ。

家庭から挑戦できる社会は来るか

本当に男女平等な社会なら、もっと専業主夫が増えてもいいはずだ。合理的に考えれば、稼ぎの少ない方が家庭に入った方が効率が良い。雇用が男女均等になれば、妻の収入が上回る世帯は増える。しかし「男が働き女が支える」という刷り込みは、まだまだ根深い。この刷り込みがある限り、雇用側は退社リスクのある女性に責任のある役職を与えることに躊躇してしまうだろう。結果、男女の収入格差は埋まらない。

実際、寿退社したい…と思っている女性は結構いると思う。

女性の希望が通りやすいであろう結婚式でファーストバイトが定番化していることも、女性自身が「男が働き女が支える」思想を支持しているように思う。*3

私は、女性がプリンセス願望を口にしなくなるのではなく、男性も同じことを言えるようなることが本当の平等ではないかと思う。
生活収入が確保できれば、スタートアップのような不安定だが面白い仕事にだって挑戦できる。夢は主夫をしながらリモートワーク、なんて、いつかそんな人生プランを公言できる社会は来るだろうか。

*1:プリンセスは専業主婦ですらないが、王家としての役割を果たす"仕事"をしていることは、あまり言及されない。

*2:統計表一覧 政府統計の総合窓口 GL08020103から「IV-7 妻及び夫の就業状態・農林業・非農林業・従業上の地位・月末1週間の就業時間・月間就業時間,世帯の家族類型別夫婦のいる世帯数」を参照、他年度も同様。

*3:古い家族観をもつ親族へのポーズとも考えられるが。